「人」と「技術」の両方を 相手に成長していく

学生時代は半導体生産系の材料工学の分野で、シリコンウエハの上に薄い膜を作るという研究に取り組んでいました。そこで半導体の面白さ、奥深さを知り、就職先として半導体メーカーを志望しました。中でも国内トップクラスのルネサスには注目しておりましたし、私の大学の先輩も多数就職していたため、親近感もありました。その先輩から企業説明会で「風通しがよく、若いうちから責任ある仕事ができる」と聞き、ここなら成長できそうだと感じたのが志望した理由です。

実は学生時代から、入社後はFAEの職に就きたいと思っていました。というのも、技術だけでなく人とも関わる業務に携わりたいという思いがあったからです。顧客とコミュニケーションを取ることができ、最新技術にも触れられる仕事として漠然とではありましたが、将来像を思い描いていました。

新入社員研修では、1年ほどMCUやソフトウェアに関する勉強に励みました。大学時代の研究とは異なる分野の知識を習得することができたと思います。次の1年間は先輩のFAEに同行しながら学ぶ機会を得て、合計で約2年間、しっかり学ぶことができました。

その後、設計部門に配属されました。ここでは、ルネサスの半導体がどのように役立つか顧客に展開するためのデモキットを作成しており、その一員として開発に参画しました。これも自分には新たな分野でしたが、OJTを通じ、技術面に関して詳しく学びました。

これらの期間を経て、2018年8月に現在の部門でFAEの職に就きました。主な業務は、車載向けMCUのソリューション提案や技術課題の解決です。顧客との関わりが多く、新製品の紹介や商談のための訪問のほか、不具合に関する問い合わせがあった際には解析作業をすることもあります。ここでは、設計部門での実務で培った技術力が役立っています。

また、先輩のFAEに同行した期間では、込み入った技術に関することや顧客の課題に対する提案能力などが身につきました。顧客に対して製品紹介やセールスの話をする機会も多いため、この経験も生かすことができています。

現在は顧客対応のほか、MCUの技術的なセミナーの講師を務めています。さらに、半導体を実際に利用する顧客との接点が最も多い特約店などに向けて、技術資料やアプリケーションノートなどの作成を行っています。

幅広い仕事の中で特に困難だと感じるのは、顧客が抱える難易度の高い問題をどう解決するか、ということです。ある製品の要件に対して、相手とルネサスの間にギャップが出た場合、ただ断るということは避けなければなりません。お互いの要件に可能な限り近づけるため、ルネサス社内の他部門ともネゴシエーションを図り、双方にとって最善の案を提示します。

加えて、コミュニケーションも大切です。これまでも取引のある顧客には、上司や先輩にポイントを尋ねた上でのアプローチを心掛けています。ルネサスの知見を総動員して、顧客が「かなえたいこと」を実現できた際は、技術者としてのやりがいを感じます。

私が所属する部門では、自社製品を顧客に使用していただくことが目標です。製品を販売して終わりではなく、その後の対応を通じてエンゲージメントを高めることを目指しているのです。

ルネサスには、専門知識を持つ上司や先輩が数多く在籍しています。自分だけで解決できないケースでは、社内の有識者に協力を仰ぎます。このネットワークは、普段から社内の会議で詳しそうな方を見つけて質問するなど、関係を構築するように心がけています。このような部分も、ルネサスの風通しのよい社風が影響していると思います。

将来は、私自身が技術のスペシャリストになることを目指しています。日々技術トレンドが変化する中、「この人に聞けば大丈夫」と、社内の人から信頼を置いてもらえるような人になることが目標です。

学生の方には、10年後、20年後の社会を想像し、そこで必要とされる企業に入社することをお勧めします。その会社でしかできないことや特別な技術といった、強みを持つ会社を選んでください。